About
「北九州文化運動研究会」は、主に戦後の文化運動に関心を持つ、文学館の関係者、民間の研究者、文学や社会学を専攻する大学の研究者(大学院生を含む)の集まりです。ここでいう「文化運動」とは、主に職場の労働者や地域の住民などを担い手とする、文学や記録、演劇や歌、映画などの文化的な活動をともなった小集団の自主的、自発的な運動を指しています。わざわざ「運動」という言葉を使うのは、それらが、かつて政治的・社会的な志向性を強く持つものでもあったからです。
そのような文化運動が、とりわけ1950年代から60年代にかけて、北九州地域でとても盛んであったといわれています。北九州地域といっても、文化運動の圏域でみれば、それは門司や小倉などを含む北部九州はもちろんのこと、西は遠賀や中間、南は直方や鞍手などを含む筑豊地域の一部にまで広がっていました。当時、無数に生まれた団体やサークルは、各地で様々な活動を展開していましたが、その中でもサークル団体の数が集中していた地域の一つが八幡です。
八幡にはいわゆる八幡製鉄所(現・九州製鉄所)が存在し、そのもとで多くの労働者たちによる文化サークルの団体が活動していました。それらの団体による主要な表現媒体の一つが、かつて八幡製鉄所が発行していた『製鉄文化』という雑誌です。私たちの研究会は、この雑誌の中身やその変遷を読み解くことで、北九州における文化運動の意義とその盛衰の一端を明らかにできるのではないかと考えました。
八幡製鉄所はかつて北九州工業地帯の一大拠点であり、北九州という街もまた、この会社の創業とその後の変遷とともに歩んできた歴史を持ちます。戦後、約50年間(1949年から2002年)にわたって発行されてきた『製鉄文化』という雑誌の特徴を明らかにすることは、企業城下町としての北九州地域の系譜を、文化の運動や活動、それらを担った労働者や住民による関わり合いの側面から浮かび上がらせることにつながります。ひいてはそのことが、九州の地方産業都市における「これまで」と「これから」のあり方を見つめ直すうえで、新しい視座を与えてくれると考えています。
現在、そのための作業の一環として、北九州文化運動研究会では、雑誌『製鉄文化』の総目次の作製に取り組んでいます。いまだ入手できていない巻号もあり、その意味であくまで暫定版となりますが、今後も雑誌の収集に努めながら完成版を目指したいと考えています。
そのほか、同時代に生まれた他の職場雑誌やサークル詩誌などの情報やデータなども八幡の地域から広がっていったものを中心に随時掲載していきたいと考えています。
なお、本サイトの構築および「製鉄文化」目次のデータは、科学研究費補助金(課題番号:18K02036/代表:西田心平)の助成による成果の一部です。
(文責 西田 心平)
Member
- 西田 心平(北九州市立大学)
- 川口 隆行(広島大学)
- 楠田 剛士(宮崎公立大学)
- 高山 智樹(北九州市立大学)
- 坂口 博 (火野葦平資料館)
- 稲田 大貴(北九州市立文学館)
- 茶園 梨加(宮崎大学非常勤講師)
- 奥村 華子(名古屋大学大学院)
- 小島 秋良(名古屋大学大学院)
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北九州文化運動研究会
〒802-8577
北九州市小倉南区北方4丁目2番1号
北九州市立大学 基盤教育センター(地域創生学群)教授
西田 心平
Tel / 093-588-5508(個人研究室)
E-mail / shinpei@kitakyu-u.ac.jp
※雑誌『製鉄文化』について実物や情報をお持ちの方はご連絡いただけますと幸いです。